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「クロムめっきのメリット・デメリット」

 
硬質クロムめっきはビッカース硬度800~1000と言われ、切削工具等の硬度を必要とする工業用部品に多く利用されております。
 
 
硬度が高いと同時に、摩耗に対しても強く、高速回転して使用される工業用部品(工業用ミシン部品、薬品打錠機、ゲージ、工作機械の回転軸部等)にも適しております。
 
 
金型からの成形物の離れやすさを示す離型性、硬質クロムめっきはこの点でも優れております。またこれらの金型材料に多く使用される、鋳鉄・銅・真鍮等へのめっきでも実績があります。(医薬品錠剤用金型、ゴルフボール用金型、ゴムパッキン製作用金型)
 
 
クロムめっきは大気中での変色が少なく、腐食が進みにくい性質があります。しかし被膜に微細なクラックを有することから、めっき厚さが薄い場合、このクラックより浸食が進む場合があります。このため、直接素地にめっきを施す、工業用クロムめっきでは、防食・防錆を目的とする場合、装飾クロムめっきに比べて厚いめっきを施すことが一般的です。
 
 
クロムめっきでは他のめっきに比べ、厚い膜厚でのめっきが可能です。長期の使用により摩耗・劣化した部分への厚いめっき、または製造工程での寸法不足に対する救済措置としての厚いめっきを施すこちにより、新品の購入や再製作に比べて時間・コストの面で効率的な場合があります。このようにリサイクル、修正といった用途にもご利用いただけます。

 

 
クロムめっきは広い面の中心部や、穴の内径、立ち上がり部等にはめっきがつきにくく、場合によっては全くめっきが析出しないということがあります。 これに対し、鋭利な先端部、角部等には極端に厚くめっきが析出し、最悪の場合は“めっきの花”や“バリ”と呼ばれる、さんご礁状のクロムの析出物が被めっき物の先端・角部にできてしまう傾向があります。
当社ではこのデメリットに対しての方策、つまり“いかに均等にめっきをつけるか”をテーマに、長年研鑽を積み、技術を構築して参りました。そのため、めっき後の研磨工程の短縮や省略も可能となる場合や、ご要望の寸法公差に仕上げることも可能な場合もあり、お客様に喜んで頂いております。
 
 
クロムめっきは、その工程で水素と酸素を発生させます。この水素が金属の結晶中に滞留することが原因で、金属の強度が下がること、すなわち“水素脆性(水素脆化)”を起こします。このため品物によっては、めっき後の熱処理(ベーキング処理)により、脱水素を行う必要があります。強度を必要とする品物、特に高速回転する品物等へのめっきをご依頼のお客様には、めっき後の熱処理も合わせてお勧めしております。。
 
 
現在6価クロムの有害性は広く知られておりますが、めっき後の被膜そのものは金属クロムとして析出しており、有害性が指摘される6価クロムではありません。